『考える技術・書く技術』ピラミッド構造の作り方【ダメな報告文を書き直す記入例つき】
ピラミッド構造は「分かった」のに、自分の資料には落とし込めない——バーバラ・ミント『考える技術・書く技術』でいちばん多い難しいところです。原因は理解力ではなく、原則を実際の文章に翻訳する過程が本だけでは埋まりにくいこと。この記事は、伝わらない報告文を1つ取り上げ、ピラミッドの3段に組み直すビフォーアフターを、そのまま使える型つきで示します。
ピラミッド構造を一文で言うと
「頂点に結論、その下に結論を支える根拠、さらに下に各根拠を裏づける具体例」——この3段のピラミッドで情報を配置する、という一点に尽きます。読み手は最初に結論を受け取り、なぜそう言えるかを上から順にたどれる。だから速く、正確に伝わる。
問題は、頭で分かっても手が動かないことです。実際に書くと、多くの人が次の3つでうまく進みません。
うまく進まない3つのポイント
ひとつ、結論から書けない。「結論が先」と知っていても、いざ書くと背景説明から始めてしまう。ふたつ、根拠のグループ分けが重複したり漏れたりする。並べた根拠が「同じ種類の答え」になっていない。みっつ、事実は並ぶが「だから何が言えるのか」が弱い。各グループから結論へのつなぎが抜ける。
この3つは、実例で見ると一気に腑に落ちます。以下、よくある報告文を組み直します。
ビフォー:伝わらない報告文
「お疲れさまです。先月のサイトのアクセスですが、全体的には先々月と大きくは変わっていません。ただ検索から来る人が少し増えていて、SNS経由は減りました。記事も何本か追加しました。広告は続けていますが費用対効果は微妙なところです。来月どうするか相談させてください。」
何が言いたいのかが最後まで分かりません。結論がなく、事実が時系列でも重要度順でもなく並び、「だから何」が無い。読み手は自分で要点を組み立てさせられます。
組み直しの手順
手順1、伝えたい結論を一文で書く。これがピラミッドの頂点です。ここでは「来月は検索流入に絞って投資すべき」だとします。手順2、結論を支える根拠を3つに絞る。多すぎると記憶に残りません。手順3、各根拠に具体例やデータを1つずつ紐づける。抽象を具体で裏づけます。
この3手順で、上の報告文はこう変わります。
アフター:ピラミッドで組み直した報告文
結論:来月は検索流入に絞って投資することを提案します。
根拠は3つです。
1. 検索からの訪問だけが伸びている。 先月、検索経由は前月比で増加し、他の流入は横ばいか減少でした。
2. SNSは費用対効果が合っていない。 投稿を続けても訪問への貢献は小さく、作業時間に見合っていません。
3. 記事の追加が検索の伸びに直結している。 追加した記事が検索の入り口になっており、投資先として最も反応が明確です。
以上から、来月はSNSと広告を絞り、記事改善に時間を寄せる案を相談させてください。
同じ材料でも、結論が頭にあり、根拠が3つに整理され、各行に「だから何」がついている。読み手は最初の一文で要点をつかめます。
そのまま使える型
次の空欄を埋めれば、どんな報告でもピラミッドになります。
結論:(いちばん言いたいことを一文で)
根拠は3つです。
1. (根拠1を一言で) (それを裏づける事実・数字を1つ)
2. (根拠2を一言で) (同上)
3. (根拠3を一言で) (同上)
以上から、(結論を受けて相手にしてほしいこと)。
埋めるときのコツは、根拠3つが「同じ問いへの答え」になっているか確認することです。上の例なら3つとも「なぜ検索に絞るのか」への答えになっている。もし1つだけ別の問い(例:「予算はいくらか」)への答えが混じっていたら、それはこのピラミッドの外に出します。これが本書のいう「MECE」を、1つの文章で実践するということです。
根拠を足す前に、元の事実と照合する
上の報告文は構成を練習するための例です。実際の報告では、「記事の追加が検索の伸びに直結した」とまでは、アクセスの増加だけでは判断できません。記事別の流入など、原因を裏づける情報が必要です。確認できなければ「記事追加が寄与した可能性があり、記事別に確認したい」と書き分けます。
結論に合わせて根拠を作るのではなく、確かな事実と仮説を分けてください。三つの空欄を埋めること自体を目標にしないのが、型を使うときの注意点です。
本の説明自体が難しく感じられる場合は、『考える技術・書く技術』が読みにくいときの読む順番から、取り組む範囲を絞れます。
一人だと迷う「翻訳」を一緒にやる
原則を自分の実際の資料に当てはめる段階は、一人だと判断に迷います。特に「根拠が同じ種類の答えになっているか」は、他人の目が入ると精度が上がります。
『考える技術・書く技術』を誰かと進めたい方は、読解(ドッカイ)で止まったところを書いておけます。下のボタンから書くと、講座が公開された際に通知が届きます。書いた時点では、費用や参加義務はありません。
